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骨折を予防して元気に暮らそう!〜骨粗鬆症の話〜

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医療法人尽生会 聖和病院
京 文靖

骨粗鬆症について

骨粗鬆症は女性ホルモンなどの影響により骨がもろくなる病気です。50代の女性9人に1人、60代の女性3人に1人、70代の女性2人に1人が骨粗鬆症であると言われています。
骨粗鬆症により脆弱性骨折(椎体、大腿骨近位部、橈骨遠位、上腕骨近位)が起こりやすくなり、繰り返す事により生活能力が低下し、寝たきりになる可能性が高まります。椎体は1箇所骨折をきたすと再骨折リスクは3.4倍、2箇所以上骨折をきたすと7.4倍になるとの報告もあります。要介護の状態に至る原因のうち20%は整形外科や骨折が原因となって起こっています。

日本では骨粗鬆症は治療が行われていない患者さんが多いといわれ、我が国の骨粗鬆症の推定患者数は1280万人と言われているのに対して、治療率は15%しかないと報告されています。骨粗鬆症検診率も非常に低く、大阪は全国ワースト7位の受診率であり、治療への啓蒙が必要と考えられています。

骨粗鬆症の診断

骨粗鬆症は 1,閉経 2,小柄でやせている 3,運動不足 4,乳製品をとらない 5,家族の骨折既往 6,ステロイド服用 7,糖尿病や甲状腺疾患 8,タバコやアルコールの方に発生しやすく、早期の骨密度チェックが推奨されます。
骨粗鬆症の診断、治療にはDEXA法による腰椎、大腿骨近位での骨密度測定が大事です。診断、治療は骨粗鬆症治療ガイドラインに準じ、骨折の有無やYAM値(若年齢の平均骨密度を100%として、被験者の%を計算)により決定します。

骨粗鬆症の治療

骨粗しょう症治療にはまず食事が大事であり、特にカルシウム(700mg以上)、ビタミンDの摂取が大事です。
カルシウムの1日摂取量の概算は、カルシウム自己摂取アンケートなどが有用であり、ビタミンDは魚摂取(特に鮭が豊富)が大事です。
運動療法では筋肉量アップが大事であり、またオステオカルシン分泌を促す踵上げ運動が推奨されます。
薬物治療は内服から注射まで、投与間隔、費用も様々なものがあります。骨折リスクの高い方には骨形成促進作用の強い治療が勧められます。骨吸収抑制作用の薬物には顎骨壊死や非定型性骨折などがあり、リスクベネフィットを把握した上で使用すべきです。
お一人おひとりの生活スタイル、必要度にあった治療選択を行い、継続治療を行うことが大事です。

骨粗鬆症リエゾンサービスについて

リエゾンサービスとは「連絡係」と訳され診療におけるコーディネーターの役割を意味します。すでに英国、豪州、カナタではこのようなサーヒスか実施され、多職種連携による骨折抑制を推進するコーティネーターの活動によって、骨折発生率か低下し、トータルでは医療費も少なくて済むことか報告されています。
骨粗鬆症リエゾンサービスは国際的にも認められた取り組みであり、我が国でも骨粗鬆症マネージャー認定制度が始まっており当院でも現在5名がマネージャー資格を保有しており、順次増員しながら他職種連携で骨粗鬆症治療啓蒙や治療継続支援をおこなっています。
骨粗鬆症パス、コツコツ手帳を使用した治療を行う事により、当院での脆弱性骨折後の治療開始率は90%以上となっており、一年治療継続率も90%を超えています。この取り組みは世界骨粗鬆症財団のベストプラクティスフレームワークという二次骨折予防ガイドラインに準じており、現在モデル認定の申請を行っています。
医師による治療だけでなく他職種、病院全体で骨粗鬆症、骨折予防の取り組み、リエゾンサービスを通じて治療継続への理解を進め、この地域で骨折をなくしてみなさんが元気で暮らせることを目指します。

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